自動車事故対策機構が実施する運転適性診断を受けた。大きな事故の経験がなく、成績はそう悪くないだろうと思っていたが、予想を裏切る結果が待っていた▼テレビ画面に映し出された街を運転し、また、散らばった複数の点を一瞬で記憶する診断を受けたところ、動体視力は平均の下の方、眼球運動能力も平均以下だった。注意の配分も不十分で、「一点に集中せず、周囲をよく見ること」とアドバイスが。30代前半、まだまだ若いと思っていたが、ハンドルを握るのが少し怖くなった▼先月、横浜で小学生の列に高齢者の運転する自動車が突っ込む事故があった。運転手は87歳男性。証言が二転三転し、認知症の疑いがあるという▼いくら安全運転を心掛けても、身体がついていかなければ行動に移すことは難しい。今回の適性診断は客観的に身体の状態や運転の癖を知る機会になった。自分の現状を把握することこそが、安全運転への第一歩。そう考えると、横浜の事故が他人事とは決して思えない。(林)

(2016年11月5日号掲載)