毎年、元日放送のテレビ番組「芸能人格付けチェック」。高額な牛肉と安価な牛肉、2種類を味見し、どちらが高いのか、あるいは2パターンのクラシック生演奏を聴き、高級な楽器はどちらかなどを当てる内容です。

 盆栽に関する問題で並べられたのは、名のある作家による1億円の作品と、もちやあんこなど和菓子でできた盆栽。一目りょう然かと思いきや、見分けが付かず…。日本の職人が持つ技術力の高さに舌を巻きました。

 「近大発のパチもんでんねん」。この言葉とナマズのアップがドーンと掲載された1月3日の新聞広告にも驚かされました。近畿大学の一般入試受け付け開始の広告ですが、マグロの完全養殖に成功した近大が昨年、絶滅が心配されるニホンウナギに代わるものをと開発した〝うなぎ味のナマズ〟を前面に、実学精神をPRするものです。

 広告では、「〝固定概念〟をぶっ壊し続ける近大も、旧態依然とした大学界から見たらパチもん?的な存在かもしれまへん」と続け、結びは「パチもん、なめとったらあきまへんで」。養殖技術もさることながら、そのユーモアに拍手です。

 キラッと光る技やアイデアに出合うとうれしくなるのは、私だけでしょうか。昨年を振り返ると、和歌山市のオーダー家具専門店、山ノ木が手作業で製作し、人気を呼ぶ卓球のラケットを取材し、職人のこだわりの深さに触れました。商店街に指定された日時に集まり、集団で買い物して回る地域活性化イベント「キャッシュモブ」もユニークな企画です。今号で言えば、酒造会社の対岸にある内川沿いの空きビルに日本酒バーを設ける事例も面白い。 ※参考=ニュース和歌山2016年1月9日号記事

 今年は享保の改革で知られる徳川吉宗が8代将軍となって300年です。安倍晋三首相は年頭の会見で、「将来、花が咲けば、貧しい村々にも人が集まり豊かになる」と吉宗が江戸のあちこちに桜の苗木を植えたことを例に、「将来を見据えながら、1億総活躍の苗木を植える挑戦をスタートしたい」と語りました。

 最近は苗木、さらには種から街の元気を育てる市民団体も増えています。顔を出したばかりの小さな芽を見逃さず、広く紹介する。ニュース和歌山は今年も、吉宗が過ごした和歌山を元気にする一翼を担えればと思います。「なめとったらあきまへんで」──。そんな意気込みあふれる取り組みでいっぱいの1年となりますように。 (西山)

(ニュース和歌山2016年1月9日号掲載)