何かと言えば、拳銃をぶっ放す警察官。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公、両さんだ。昨年、40年にわたる連載が終わった。先日、大阪でこち亀展があり、のぞいてきた▼久々に「これぞギャグマンガ」といった奇想天外さに触れ、ありえない展開に腹を抱えたころを思い出す。目を通した最終話も、憎めない両さんは健在だ▼先ごろ、雑誌の売り上げが41年ぶりに書籍を下回ったと報道された。両さん登場の前年以来で、マンガ誌不振が大きいとか。確かに、たまに乗る電車でマンガや週刊誌を抱える人を見かけなくなった▼一方で、インターネットにはおびただしい量の記事、マンガがあふれる。ただ、ネットだと、だれがどんなマンガを読んでいるのか分からない▼ネットで見かけたマンガは、目を覆いたくなるいじめシーンが満載だった。雑誌なら批判対象になったはずだが、世間が騒いだとは思えない。便利さと引き替えに、秘密性が高まった。分かりやすかった両さんのころとは、違うのだ。(小倉)