神戸製鋼所でデータ改ざんが主力の鉄鋼でも行われ、不正の常態化が発覚した。ロケットにも使用されていたが、無理な目標に現場が不正に走ったと報じられている▼今回のことといい、免震データ改ざんで問題になった東洋ゴムのときといい、基礎の欠陥は全体を揺るがす。鋼鉄はさびやすく、鋼橋は揺れやすいというが、身から出たさび、揺れやすいから仕方がないとなると、冗談にしては笑えない▼基礎はその上に物事を積み重ねるための土台である。入社8ヵ月、自身を省みれば、依然取材先で初めて聞く言葉や情報が多い。取材ごとに基礎となる知識が違うとはいえ、聞き手が理解できていなければ、深く問いかけることはできない▼目先の課題に追われ、先の見通しが立たない日々に、余計視野が狭くなりがちだが、付け焼き刃ではなく、鍛錬し、さびず、揺れない鋼にしなければ、と気を引き締める。私の上にはまだ、ロケットもビルも見えないが、立ち返れる基礎を、今は一歩一歩築く。 (長谷川)