通勤途中、街路樹の根元に黄色い花が咲いているのに気が付いた。春の光の下、数日で花壇のように咲き乱れた。調べると、オオキバナカタバミ。観賞用に国内に持ち込まれ、関東以南に広がるアフリカ原産の外来種だった▼雑草学者の稲垣栄洋さんの『雑草はなぜそこに生えているのか』(ちくまプリマー新書)によると、雑草は「踏まれても立ち上がる」とのイメージと違い、基本的に弱く、生存競争の激しくない所を選び、独自の戦略で生き延びる。例えば「ひっつき虫」ことオナモミの実。人や動物に付着し、生息域を広げるだけでなく、中に成長の早い種と遅い種2種を備え、環境の変化に対応できる幅を持つ▼関ヶ原の合戦で東西に兄弟が分かれ戦い、どちらに転んでも家が絶えないようにした真田家ばりのしたたかさに見える。植物は生態そのものに深い知性を宿すようだ▼アフリカの花を娯楽に持ち込み、結果的にあちこちに咲かせる人間の姿を思うと、その知性は雑草より乱雑に映ってしまう。 (髙垣)

(ニュース和歌山/2018年4月7日更新)