「このへんは停電しなくてよかったですねぇ」。最近、仕事帰りにいつも会話を交わす女性がいる。1時間ほど立ち話することもあり、ちょっとした井戸端女子会だ。80歳を超えているものの、杖もカートも使わずしゃんと歩く姿が頼もしい▼「昔は商店が建ち並んでたんよ」「大晦日は人通りがすごかったんやで」とここ半世紀の町の様子を生で聞くと、映像が浮かんでくるよう。今のマンションに越して2年、初めて〝ご近所さん〟ができた▼暴風雨に停電や断水と、大きな被害を出した今年の大型台風は、家屋が被害に遭ったり、安否の確認をしたりと、改めて隣近所と声を掛け、助け合う機会となった。台風一過後、ご婦人と「大丈夫やったよ」と交わし合った時はホッとした▼3年前に本紙が行ったアンケートで、「いざと言うとき、頼れるご近所さんはいる?」との問いに、4分の1が「いない」と回答した。身近にいる人と普段から会話を交わす。そんな積み重ねが減災への一歩と感じている。 (島本)

(ニュース和歌山/2018年10月6日更新)