年々、やりとりする年賀状の枚数が減っている。元々まめな方ではなく、付き合いそのものも途絶えてきた。年の瀬が近くなり、何件か届いた喪中はがきの一枚にため息が出た▼数少ない友人の一人がこの夏、30代半ばの若さで旅立った。がんだった。今年の正月には一緒に初売りに出掛けたのに…。がんになったと聞いたときも驚いたが、恐ろしいスピードで進行するのを見せつけられるだけで、何もできなかった▼家族でない者は、病状について抱えた疑問や悩みを相談できる場に困ってしまう。不用意な言葉をかけないか、何をすれば役に立てるか分からず、闘病中の友人に接するときは、同世代のがん患者がつづるブログを参考にした▼和歌山の高いがん死亡率を受け、県立図書館はがん資料を集めたコーナーを作り、医大と連携した講演会を毎年開く。これだけがんが身近な今、病院以外で情報にふれる場所がもっとでき、防災のように、日ごろから家族や友人と話し合う機会が増えればと思う。 (島本)

(ニュース和歌山/2018年12月15日更新)