英国のロックバンド、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーを描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』の上映が続いている。話題作も比較的短く終わるこの町でもロングランだ▼私も公開日の夜、年末と2回見た。熱心なファンではなかったが、兄が持っていたLPは洋楽の入り口だった▼亡くなった伝説のアーチストを扱った映画は多い。しかし、実物とまるで体格が違う主演俳優の違和感のない演技は奇跡的で、そこに「死を乗り越える」意志が感じられ、全体に緊張感を与えていた▼多くの人が涙腺を決壊させたのは最後の一曲だろう。42年前発表のこの曲を、齢を重ねて聴くと、人並みに労苦のあった自らの歩みがよぎり、曲の大きな肯定感にのみ込まれてしまう。終演後、後ろの席の人は立てなくなっていた▼ロックは長らく青春期の音楽と位置づけられ、歴史は百年に満たない。アーチストの死や高齢化だけでなく、リスナーも年をとり、逆に表現が深くなっている。それがうれしい。 (髙垣)

(ニュース和歌山/2019年2月16日更新)