医を多目的に考える

 近年、医療検査機器やリハビリ機器などで、軽量・コンパクト、かつ安価な製品の必要性が増すとともに、軽量・薄型のアクチュエータ素子(モーターやエンジンなどのように動力を発生させる機構)が注目されています。
 「人工筋肉」として近年注目を集めている機能性高分子材料は、省エネルギー駆動で、今までにない生物的な柔らかい動きや応答ができることから、ライフイノベーションにつながる技術といわれています。医療・福祉、材料科学、化学、ロボット工学のみならず、電気、機械から、おもちゃのようなホビーなど様々な産業から関心が持たれています。
 例えば、発生する力の大きいものは、主にロボットなどのモーターの代わりに使用する動力源や、人工心臓、人工声帯や人工肛門などの人工臓器を駆動させるための素子として応用が検討されています。また、マイクロサイズに加工したものは、細胞などをつかむマイクログリッパ、薬物送達システム用デバイスのマイクロポンプやマイクロバルブ、自由に先端を動かすことのできる能動マイクロカテーテルなどへの応用が研究されています。
 これらの応用デバイスの開発は、これまで実現できなかった低侵襲医療(患者への負担を極力減らした医療)や人に優しい介護・福祉の実現につながり、新しいライフスタイル、安全・安心で豊かな生活の提供につながる技術となる可能性を秘めています。
 一方で、これら技術は、これまで異分野とされてきた電気・機械・科学・ロボットなどの学問領域をまたがる異分野融合技術であるため、必要とする内容が広く、学術界においても、産業界においても、まだまだ技術・知識の普及に至っていない面もあります。
 私たちの研究室は、機械・電子工学、微細加工技術をベースとした異分野融合技術として、これら高分子アクチュエータ・センサ技術と応用デバイスの実用化・高機能化を目指し、研究開発に取り組んでいます。

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 和歌山大学とニュース和歌山は原則毎月第1土曜に和歌山市西高松の松下会館で土曜講座を共催。次回は1月10日(土)午後2時、テーマは「へき地医療や救急医療問題の背景を考える」です。

(ニュース和歌山2014年12月20日号掲載)