未来につながる夢を施策に生かすため、和歌山市は5月に市民から〝夢のあるアイデア〟を募り、先月、その結果を公表しました。案は「まちづくり」「にぎわい」「子育て支援」などで、57人から147件のアイデアが寄せられました。市ではこれらを分類し、提案者と市との意見交換を経て、事業化を検討する計画です。和歌山版の総合戦略や長期計画、可能なら来年度予算に反映させます。

 楽しいアイデアが目に付きます。例えば「和歌山城の動物園にパンダを」「動物園にカフェを」。パンダはハードルが高そうですが、お城で一服できる場所を求める声は根強いです。「和歌山城本丸御殿や三の丸武家屋敷などの復元」「中心市街地にクリエイティブスポットやクリエイターのアパートメント機能のある施設を」といったものもありました。

 「ぶらくり丁」「みその商店街」の復活を望む声があります。商店街の落書き問題を逆手にとって、シャッターをアートに仕上げ、優秀賞を与えるというユニークなものも。このほかでは、次世代の路面電車として注目されているLRTの導入を求める意見、水軒川、築地川、和歌川、和田川といった川沿いをまちづくりに生かす案、桜スポットの発信をすすめる案が寄せられました。

  行政が市民から意見をくみ上げる試みはこれまで再三ありました。私の印象としては、従来は都会から人を呼ぶため、必要以上にインパクトを求める内容が多かったと思います。しかし、「ぶらくり丁の空き家などをリフォーム、または高層ビルを建て、学生用住居や、高齢者施設と保育所・幼稚園を同一施設として建設」「複数世代が同居できる中心市街地の住宅整備」と世代を超えて市民が支え合える仕組み、コミュニティの再構築を求める声に注目します。

 独居する高齢者が多く、しかも空き家が増えるといった都市化のマイナス部分を被った和歌山の人は、健全な世代の新陳代謝の中で、安心して暮らしたいという、ささやかなのに遠くなってしまった夢を抱いているようです。多様な世代が暮らし、地方ならではの豊かさ、暮らしの質を実感したいとの望みが強まっていると思います。

 和歌山の風土性、地域資産、そして様々な制度を生かしたライフスタイル像をどう創り、発信できるか。創生とはそういうことだと思います。(髙垣)

(ニュース和歌山2015年8月22日号掲載)