行楽の秋、幼稚園の遠足以来行っていなかった生石高原を訪れた。さすが関西随一のススキの名所。和歌山県外ナンバーの車が並び、観光バスが渋滞をつくっていた。背丈ほどあるススキの大海原をかき分け、日没までハイキングを楽しんだ▼生石高原を思い立ったのは、Jポップグループ、ET︱KINGの動画がきっかけ。10月21日発売のシングル『喝采(かっさい)』のプロモーションビデオのロケ地が生石高原だった。和歌山とは思えない、海外のようなダイナミックな景色が映し出されていた▼2012年公開の映画『天地明察』、時代劇ドラマ『暴れん坊将軍』、セブンイレブンのCMもここで撮影された。360度の眺望と鉄塔の少ない山並みがロケ地として好まれる理由だ▼夕方5時、カメラマンたちが一斉に西へ一眼レフを向けた。雑音のない静けさの中、鈴虫の鳴き声と人のささやき声だけが聞こえる。銀色のススキにさざ波が立ち、黄金色へと色を変えた。映画のワンシーンが目の前に広がった。(岡村)