この夏、いくつか絵画展に行った。まず、ダリ展。不勉強のため、おどろおどろしい絵を描く人との印象を持っていたが、構成に幾何学的な美を感じた。また、カナダの町並みや風景を描く知人画家の展覧会は、人柄そのままの温かな雰囲気がにじみ出る絵が好きで、毎年出かける▼そして、和歌山市で開かれたカンボジアの児童養護施設で暮らす子どもたちの絵画展。花や動物、風景の色使いには、いつも目を見張る。魚やカタツムリが、オレンジ、赤、緑、黄と、あり得ない色ながら、目に鮮やかで良い感じに表現されているからだ▼絵画展を主催した海南市出身のメアス博子さんは「はっきり言って絵はヘタです。ただ、幼稚園児のような素直な絵を中高生年代の子どもたちが描く」と目を細めていた▼世界に名だたる画家、画業を生業とする人と、絵の出来を比べるのではない。成熟した画家の絵とはまた違う、描くことの喜びや、感じたまま表現する楽しさ。そんな原点に触れる気がし、心が引かれる。(小倉)