提案者:西山修司(建築史家)

「歴史ある建物が残るまちは文化の香りがする」という素敵な言葉があります。このような建物はまちの魅力を引き立て、ひいては和歌山の発展にも寄与します。しかし現状では、古い民家や歴史を物語る建物が次々となくなり、まちの魅力が消えつつあります。歴史ある和歌山の魅力や文化が、まるで水銀柱が下がるようにジリッジリッと低下してゆく思いです。

2017012811_kenchiku どうしたら貴重な建物を残せるか。文化財保護法をはじめ、市町村にもこれに類する条例があります。しかし、実際は建物を守りきれていません。現実には、法を適用できないものが少なからずあり、いつの間にか消えてしまったり、適用できても経済的な理由で残せないものが増えているからです。

 理由は様々ですが、貴重な建物ほど補修費が多額となり、年月の経過とともに老朽化し所有者の手に負えなくなり、解体せざるを得ないケースが多いのです。

 そこで、個人が維持できない場合、地域のNPOなどの管理と、所有者が建物(上屋)を市町村に寄付する2つを条件に、市町村が土地を買い上げる制度をつくることが必要です。  残す建物の選定には、文化財保護委員、学識経験者、地域の自治会・連合会で組織する委員会が当たります。対象は原則、指定文化財や登録文化財ですが、緊急性、地域性を考慮してこれら以外も可とします。

 道路建設では行政が土地を買い上げるわけですから、貴重な建物の土地だと、スムーズに買い上げできないのは不思議です。また、「文化財は地域の人々で支える」といった意識を育むことも大切です。一朝一夕にいきませんが、日本をこんな国にしたいものです。

 最後に、「歴史ある建物のないまちは思い出のない人生と同じだ」という欧州の言葉もご紹介します。

(2017年1月28日更新)

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ニュース和歌山編集部「よくする法案」係

法案への読者の声

旅先の文化や歴史事前に学んで

sanseiorenzi1  ◎海外旅行が好きで色々な所に行ったが、行く前にはその国のルールや文化などを少しは分かった上で旅行する。旅行雑誌にもその国の基本的なルールや文化は紹介されているので必ず読む。元々、他の国の文化に興味があったからではあるが、日本では当たり前と思っている事が他の国では全く違う事も多々あるため、やはり事前に調べておくのはその国の方々にも大切なことだと考える。また、文化の違いが旅行を楽しくする要因と思うし、現地の人々との交流にもつながりやすくなる。他の文化を知ることで、また新しい発見が増えるし、日本がどれほどすばらしい国かを改めて感じることもできる。(美容師・匿名 39歳)

 ◎以前旅行で訪れた場所が旅行後に雑誌で取り上げられており、旅行中ただ通り過ぎただけの場所が歴史的に大事な場所だったと知ったことがあるので事前に学ぶのは大事だと思う。同じものを見ても、学んだか学んでいないかで見え方が変わってくる。旅行をより魅力的なものにするためにも学びは必要。(会社員・匿名 37歳)