街のことを手っ取り早く知るには、地元の人に愛される喫茶店や酒場に飛び込むのが早いと思っている。「昔は〇〇があった」「このあたりはこれがおいしいよ」。ガイドブックやインターネットよりも面白くディープな話が聞けることも▼どこが見どころか分からないような地方の土地でも、カウンターがある店に行けばなんとかなる。親切な「旅先案内人」のようなマスターや客が一人はいるはずだ。海外ではなかなかそんな勇気もないけれど▼11面のよもやまリサーチで行きたい海外を聞いたところ、ハワイが1位で、その理由を「日本語が通じる」「手軽」と挙げた人が大半。たしかに観光大国、食にアクティビティと日本人向けにパッケージされた〝感動〟はハズレはないが、お値段もそれなりに…▼さりとて海外旅行に行く資金も時間もない私は度胸試しのように、入りにくそうな店のドアを開く小さな旅を続ける。そこに美しい景色はないが、ありありとした街の表情に出合える気がしている。(宮端)

(ニュース和歌山より。2017年2月4日更新)