消費税増税を最大の争点とする通常国会が始まりました。野田佳彦首相は施政方針演説に、かつて自民党の福田康夫氏、麻生太郎氏が首相として臨んだときの演説を一部引用、理解を求めようと懸命です。
増税は誰しもイヤなもの。しかし財政危機が叫ばれる中、このまま赤字国債を発行し続けることはできないはず。国民の預貯金総額が国債の累計を上回っているから大丈夫との声もありますが、それも数年で逆転すると言われているのです。
一方、民主党が公約した「天下り廃止」「議員定数削減」「公務員人件費削減」などに明確な策が示されないまま増税だけが先走れば、国民の理解を得られるとは思えません。
1月23日付け毎日新聞は同社世論調査で、消費税引き上げ案反対が60%、内閣支持率は32%で不支持を12ポイント下回ったと報じました。消費税アップを口にしたとたんの支持率急落は自民党政権時代もあり、あわてて取り下げていました。
ただ気になるのは、世論調査の結果を盾に、ことあるごとに「首相退陣」「解散・総選挙」をあおる風潮。これに対して、与党は首相の首をすげ替え、次の選挙に持ち込む。どう考えても、「国民のため」でなく、「選挙のため」。そんな繰り返しで、何人が交代したのでしょうか。
この20年を見ると、92年1月時点の首相は宮澤喜一氏。野田氏は実に14人目です。特に2000年代は、小泉純一郎氏が5年半の長期だった以外は、森喜朗氏から菅直人氏まで6人が1年前後の短命内閣。ちなみに、40年前の72年は佐藤榮作氏で、宮澤氏は11人目。さらに遡ると、52年は吉田茂氏で、佐藤氏は6人目でした。長く首相をするのが良い訳ではありませんが、生徒会じゃあるまいし、毎年替わるのは明らかにおかしい。
毎日新聞調査でも、消費税の引き上げなしに社会保障制度を維持できるかとの問いには、68%が思わないと回答しています。国民にしても、「分かっちゃいるけど…」が本音でしょう。
世論調査の結果を「国民の声」とし、それに振り回されて重要課題を先送り。こんな状態が何年も続く。野田民主党内閣がふさわしいかどうかはともかく、きちんと長期展望を示した上で、どこかで思い切った策に踏み切らないと、いつまでたっても私たちの不安は解消されないのです。 (小倉) |