日本全国のひとり旅に魅せられた貴志川町の西川寛巳さんが、2002年2月から2年間の旅の記録を『遠くへ近くへこんな旅』として出版した。1991年に発行した『こんなとこ こんな旅』から4冊目の著作で、99カ所を取り上げた。「和歌山を筆頭に地域別に掲載しましたが、途中で訪問した県が40を超えたことに気づいたので、47都道府県すべて網羅することを意識しました」と明かす。
西川さんは「日本の原風景」を求めて旅を続けている。旅先を選ぶときは「日本が残る場」が第一の判断基準。今作で祭りを題材にしたのが比較的多かったのも、何百年も続く伝統の祭りに日本の姿が浮かんでくるからだ。
しかし、第一番に掲載した九度山町の厳島神社に残る傘福と呼ばれる祭りを始め、人口減で伝統を守ることが難しくなっていることを憂う。この祭りは本来、4つの在所で生まれた35歳以下の男子だけがかかわれたが、過疎化が進んだため、祭りを続けるには厳しくできないことを紹介。「伝統を守るのこそ文化(中略)文明が文化を圧倒しているかに思えて仕方がない」と記す。
訪問先では「自然がもっとも残る北海道が好きです」と目を輝かせる西川さん。各地ともそれぞれ思い出深いが、「北海道のワッカ原生花園に圧倒されました。エゾスカシユリの大群落は夢見心地」と振り返る。
また、ひとり旅の魅力に触れ、「日常性から抜けることが旅。それは本来、距離には関係ないかも知れませんが、日常から脱却することで不安感がつのり、漂白感が増す。これが旅の持つ醍醐味で、そういった感情はひとり旅でないと味わえない」と信念を貫く。
B6判、377ページ。税込み1000円。宮井平安堂ほかで発売中。問い合わせは西川さん(貴志川0736・64・4109)。なお、既刊3冊と今回の『遠くへ近くへ〜』の約500カ所から100カ所程度を1冊にまとめ、来春をメドに発行する予定。
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