「生命」大切にして
筋ジストロフィーの松本勝子さん
希望、愛こめた詩 CDに

松本勝子さん 筋ジストロフィーという重い障害を抱えながら詩作に励む和歌山市十二番丁の松本勝子(たえこ)さん(59)の詩に、ジャズピアニストが曲をつけたCD『生命〜めぐみの中に』が反響を呼んでいる。闘病生活で感じた思いをこめた詩が多くの人の胸をうち、2月に製作した500枚は完売。さらに500枚を追加した。松本さんはわずかに動く右手の親指でパソコンを操作。「書くことは自分を表現する手段であり、私の生きがい。今も詩を書いているので、いずれ詩集を作りたい」と意気込んでいる。

写真=「書くことは生きがい」と笑顔で話す松本勝子さん)


 松本さんが体に異変を感じたのは7、8歳のころ。食事が終わり立とうとした途端、食卓に手をついてしまい、「行儀が悪い」と母親に注意された。しかし、「そうしないと立てない状態でした」。病名が分かるまでしばらくかかり、小学4年生の時、「進行性筋ジストロフィー」と診断された。
 進行性筋ジストロフィーは筋肉がやせ筋力が衰えてゆく病気で、徐々に歩くことができなくなり、呼CD「生命〜めぐみの中に〜」吸も困難になる。
 松本さんは現在、和歌山市内の病院に入院しているが、手足の指がわずかに動くだけ。肺の呼吸筋が衰え自分では呼吸ができないため、普段はパイプ状の人工呼吸器をつけており、食事の時などは「鉄の肺」という呼吸補助装置の中で過ごす。 
 呼吸困難で意識をなくすなど何度も死線をさまよい、常に死と隣り合わせで生きてきた。そんな中で、松本さんの心を支えたのが「書くこと」。小学3年時、初めて書いた詩が校内新聞にのったのをきっかけに、少女雑誌や新聞に詩や短歌、俳句の投稿を続け、91年には詩集『鉄の肺より』を出版。書くことを通じ、愛や希望について思索を進めてきた。
 詩に曲がついたのは、松本さんの親友、出口トシ子さん(62)が詩を読み、その素晴らしさにうたれたのがきっかけ。その1編『生命』に、「うちの息子に曲をつけさせる」と申し出て、ジャズピアニストの誠さん(33)が作曲した。
 誠さんは「『生命』は、感謝の気持ちにあふれたすばらしい詩。普段の自分の曲想と自然につながり、すぐメロディがわきました」。
 ボーカルはジャズシンガーとして活動するちゅうまけいこさんに依頼し、昨年6月に録音した。
 この曲が口コミで広がり、来年7月に大阪で開かれるカトリック障害者連絡協議会の大会テーマソングに決まったことで、CD化の話が持ち上がった。『生命』に加え、知人の山本功さんが曲をつけた『故郷』、誠さん作曲の『人生』の3曲を収録し、今年2月に500枚を発売。これがまたたく間に完売したことで、今回500枚を追加した。
 『生命』には、「つつましくささやかな暮らしに いつも微笑み歌をくちずさむ 母の口元が動いていた」と支えてくれた母への思いや、「大いなる恵みの中で 何時も迷い満たされてきた私 今日この時も生かされている」とキリスト教信仰にもとづいた思いを詠み込んだ。
 松本さんは「15、6歳までの命と言われたのがまだ生かされています。せっかくいただいた毎日ですから、いつも『あれしよう、これしよう』と考えています。『生命』には命を粗末にしないで大切にしてほしいとの思いをこめました」と話している。
 CDは1500円。希望者は川島さん(073・425・9288)、出口さん(同451・6460)、山本さん(同424・0324)へ。

写真=CD『生命〜めぐみの中に〜』)