毒物カレー事件発生から4年
ヒ素中毒の治療記録出版
全国の医療機関に送付
篠崎正博教授 4年前に和歌山市で発生した毒物カレー事件。死者4人を含む67人の急性ヒ素中毒患者を治療した医師らがこのほど、治療経過やヒ素中毒の特徴などを冊子『和歌山における毒物混入事件に関する臨床報告』(A4判、192ページ)にまとめて出版した。編集にあたった県立医大救急集中治療部の篠正博教授は「患者さんのプライバシーを犯さないよう配慮しながら、各医師による治療の貴重なデータをまとめました。1000部制作し、全国の救命救急
『和歌山における毒物混入事件に関する臨床報告』
センターや大学病院などに送りました」と話す。
 事件発生直後、患者の症状はおう吐、下痢、頭痛と、他の食中毒と同じ。また、心電図の異常から青酸中毒ともみられ、ヒ素中毒と断定されたのは発生から8日後だった。
 患者は11の医療機関に収容されたが、当時はヒ素の検査機などはなく特定に手間どった。そんな中で治療に悪戦苦闘した医師らが、臨床報告として伝え残そうと取り組んだ。篠教授は「ヒ素中毒の急性期から慢性期まで臨床データをまとめています。こんな事件は二度と起こらないことを祈るばかりですが、万一発生した場合に適切に対処できるよう活用してほしい」と願っている。

写真=篠正博教授)