人間を表現した川柳  辻スミさん『朱の塔』出版
          
 20年以上、川柳を続けてきた和歌山市小松原の辻スミさん(80)が、傘寿を機に自作の430首を『朱の塔』にまとめ出版した。辻さんは「川柳というと面白くこっけいな印象があると思いますが、そういうイメージとはほど遠い。人間の個々の思いや感情を表現しました」と話している。
 岩出町出身の辻さんは小学校教師時代の1977年に川柳つくし会に入会、退職した81年から本格的に取り組み始めた。以来、20余年間に書きためた句はノート20冊にもなる。本にまとめるにあたり、半年ほどかけて430句を自ら選び出し、年代別に「藪柑子」「風の峠」「約束の川」「水の十字架」「虹の雫」の5章に分類した。
 「選んだのはすべて自由テーマの句。脚色を排し1人の人間として80年間生きてきた証を収めました」。また、タイトルの「朱の塔」は、「虹の雫」の章に掲載した「塔は朱色のメロディーとなる夜明け」からとった。「五重の塔をはじめ現実の塔も好きなのですが、『かくありたい』といった未来への願望を表すような心象の塔をイメージしました」と明かす。
 このほか、104歳の天寿をまっとうした母を詠んだ30首を「母の杖」として掲載している。
 昨年10月には、新句会「番傘とらふす川柳会」(中村重治代表)の発足に尽力し、事務局担当として活動中。辻さんは「句には、実際に人間が出ていなくても、その中に人間を感じられます。表現していることを頭でなく心で味わってほしい」と願いを込めている。
 非売品。問い合わせは辻さん(073・425・7448、FAX兼)。

写真=川柳を手にする辻さん)