和歌山からリサイクルの風を  和歌山大学システム工学部、原田ゼミと松田商店  産学協同で絵本制作
        
 和歌山大学システム工学部の原田利宣教授と3年生のゼミ生5人でつくる「3年5組」、和歌山市西河岸町の資源リサイクルセンター松田商店が協同で絵本『リサイクルおてつだいロボット くるくる☆クルリンちゃん』を制作した。同社のイメージキャラクター、クルリンちゃんが主役の物語で、リサイクルの仕組みや大切さを訴える内容。松田美代子社長は「子どもに分かりやすく、大人にも伝わるものがある。より多くの人がリサイクルに関心を持つきっかけになれば」と期待している。

       
 リサイクル工場にやってきたロボット、クルリン。おじさんに教えられた通り、スチール缶、アルミ缶、ビン、ペットボトルをせっせと分別する働きものだ。近所の子どもたちともすっかり仲良しになるが、ある日、突然動かなくなる。おじさんから原因を聞いた子どもたちは、クルリンに元気になってもらおうと知恵をしぼる――。
 物語の舞台となるリサイクル工場は、松田商店がモデル。同社は缶、ビンなどのリサイクルを手掛けるほか、ペットボトルを細かく砕き、洗面器やプランターに再生、回収から製品化まで一貫して手掛けている。また、環境について学ぶ小学4、5年生を中心に、社会見学の受け入れにも積極的で、毎年約5000人がセンターを訪れている。
 同社と原田教授は、看板製作やゴミ箱のデザインなどで以前から交流があった。原田教授が「イメージキャラクター、クルリンちゃんのバックグラウンドが分かる物語があれば、会社の取り組みが認知されやすいのでは」と提案。承諾を得、デザイン情報学科で学ぶ3年生のゼミ生5人と、昨年春から絵本制作に取りかかった。
 小学校低学年にも理解できる内容、言い回しに配慮。また、絵本の会「ピーターラビット」に読み聞かせの立場からアドバイスをもらい、表現に細心の注意を払った。絵への心遣いも細やかで、彩色を担当した山田悦明さんは「子どもたちの性格が服の色から分かるよう、ドラえもんの登場人物を意識しました(笑)」、表紙を受け持った中谷香織さんは「手描きのやわらかい感じが出るよう色づかいに気を付け、バックにリサイクルのマークを入れました」。
 さらに、絵本だけでなく、リサイクルの流れが遊びながら身につくすごろくも作り、付録とした。担当した河野正之さんは「読んだ後、楽しみながら勉強できたら完璧」とにっこり。井上治郎さんは「実際に何度も試作品で遊んでみて、休み時間にゲームが終われるよう工夫しました」と話す。
 苦労の末、昨年末に絵本が完成。原画担当の寺澤隆徳さんは「長い時間がかかりましたが、本を手にして感動しました。本の出版はめったにできないこと」、山田さんも「黙々とパソコンに向かった積み重ねの結晶。重みのある1冊です」と目を細める。
 松田商店の取材や印刷所との打ち合わせに百時間以上、全員の作業時間を合計すればゆうに千時間を超える。原田教授は「松田商店は学生を育てようと考えてくれる数少ない企業。その気持ちにこたえ、企業としての考えを知ってもらおうと作りました。プロの作家が作ったもの以上のものができたという自負はあります」。また、松田社長は「“和歌山からリサイクルの風を全国へ”を理念に取り組んできましたが、和大の学生と産学協同でできたことを誇りに思います」と喜んでいる。
 絵本は県内の図書館や小学校に配布する計画。希望者は松田商店(073・433・1212)へ。1部1000円。

写真=松田社長(後列右)、原田教授(後列右から2番目)と3年5組のメンバー)