万葉の故地を巡る
永廣禎夫さん 短歌と写真で紹介

        
 奈良産業大教授で元桐蔭高校長の永廣禎夫さんが『紀伊万葉の故地を歩む』と『万葉の故地を巡る―大和・他』を三晃書房から出版した。
 『紀伊万葉の故地を歩む』は、1999年から3回に分け和歌山市の片男波公園にある万葉館で実施している企画展「短歌・書・写真のハーモニー『紀伊万葉の故地を歩む』」をまとめた。
 万葉集には、県内だけでも約50カ所で詠まれた約100首が収められている。1998年ごろから永廣さんと写真家の藤井定明さんが万葉故地をめぐり、永廣さんが短歌を詠み、藤井さんが写真を撮影してきた。
 永廣さんは「一緒に足を運んだだけで5、60回はあります。藤井さんはシャッターチャンスを求め、さらに通っています」と明かす。時には和歌山大教授の書家、矢萩喜孝さんも同行、企画展には3人が毎回約20点ずつ出品している。
 本は、橋本市と奈良県五條市の県境にある真土山から紀の川沿いに和歌山市まで、さらに海岸沿いを南下し、白浜をへて新宮まで50カ所を掲載。「沖つ島荒磯の玉藻潮干満ちてい隠りゆかば思ほえむかも」(山部赤人)など万葉歌と、永廣さんの短歌「和歌の浦の冬陽穏しく降る海に心馳せつつ遊歩道ゆく」ほかを併記し、風景写真と解説を付けた。B5判、113ページ。3150円。
 また、『万葉の故地を巡る―大和・他』は、永廣さんが1998年に奈良文化女子短大教授に就任したのを機に、講義の題材とするため奈良の故地を訪ねたのをまとめた。奈良には万葉集に詠まれた地が約300カ所あり、約900首が伝わる。1部「大和を巡る」は、奈良、明日香、藤原京、吉野などの情景と万葉歌を、2部「各地を巡る」は、下総、越中、尾張など折りに触れて訪ねた地を紹介している。A6判、262ページ。2520円。
 永廣さんは「和歌山は万葉時代、4回にわたり天皇の行幸があり、そのたびに歌が詠まれています。昨年(2004年)7月に世界遺産に登録されており、万葉故地を見つめ直す絶好の機会」と話している。
 問い合わせは三晃書房(06・6695・1500)。

写真=万葉の故地を紹介)