かつらぎ町出身の山本音也さんが昭和30年の和歌山市を舞台にした小説『抱き桜』(写真)を小学館から発行した。
山本さんは1944年生まれ。83年、『退屈まつり』が芥川賞候補に。2002年には井原西鶴が「好色一代男」を書くまでの葛藤を描いた歴史ミステリー『ひとは化けもんわれも化けもん』で松本清張賞を受賞した。このほか著書に『コロビマス』『殺し屋はバスに乗る』などがある。
『抱き桜』のテーマは“家族と愛情”。ある夏の朝、荒くれ者の父と生みの母、育ての母を持つ広之、大阪から夜逃げしてきた家の子、勝治が戦争の傷跡を残す和歌山市で出会う。淡い初恋、母の死、父の逮捕…。2人の少年を囲む様々な出来事。そして夏休みの終わりに悲しい事件が待っていた。
文中、当時の市内が鮮明に描写されており、「和歌山の人には懐かしく読める作品です」と関係者。タイトルにある桜は、奈良県の大和上市にある木を想定している。
四六判、288ページ、1680円。宮井平安堂ほかで取り扱っている。問い合わせは小学館(03・3230・5311)。 |