日本の原風景を求めて旅を続ける貴志川町の西川寛巳さんがこのほど、2002年3月から3年近くかけて訪問した国内105カ所の記録を『ひとり旅こんな旅』(写真)にまとめ、出版した。西川さんは「自分の内面をとことん掘り下げるのは、ひとり旅でないとダメ」との持論で、どこに行くにも1人。しかも電車、バス、そして自分の足で訪ねるのが信条だ。
本には北海道から鹿児島までの訪問地を掲載した。白壁の旧家や600年以上も前の石の塔、鎌倉時代の防塁、また、延々と広がる芦原に伝統の祭りと、その土地に伝わる建築や自然、祭礼を訪ね歩いた。駅から目的地までの情景描写から、集落や宿の人との触れあい、そしてその地で心にわき起こってきたことを素直に書きとめている。
いわゆる観光地には興味がないが、今回は山梨の忍野に足を踏み入れた。だが、そこでも観光バスの群れを避け、茅葺き屋根の榛(はん)の木林民俗資料館に向かう。集落には資料館と同じような茅葺き屋根が点在し、富士山北麓が茅葺きの里であったことに思いを馳せるなど、観光地に残る原風景を紹介している。
1991年に出版した『こんなとこ こんな旅』を皮切りに、これまで旅の本を5冊発行した。掲載した場所は600カ所以上あるが、2度訪れることはほとんどなく、せいぜい、「街並みを楽しんだことのある場所に、次は祭りを見るために行く程度」。だが、「原風景は数多くあり、行き先には困りません」と笑う。
B6判、391ページ。千円。宮井平安堂で発売中。問い合わせは西川さん(0736・64・4109)。 |