高度成長期歩んだ母の姿
多田雅子さんがエッセイ集

     
 和歌山市の多田雅子さん(53)が9月1日、日本文学館からエッセイ集『母に捧ぐ』を出版した(写真)。認知症になった母親の若い日の姿を高度成長期の日本の変化に重ねながら書いた作品で、「母の世代や子どもの世代を見直すきっかけにして欲しい」と話している。
 多田さんの母は2年前に認知症になり、父が介護をしていた。多田さんは父の介護を支えながら、「元気だったころの母の姿や、母の人生の重みを忘れているのではないか」と思い、母が認知症になった時の思いをつづった「母の眼が羊の眼になった」を日本文学館のエッセイコンテストに応募。受賞はしなかったが、出版社からエッセイを1冊にまとめることを薦められた。
 『母に捧ぐ』は「変わりゆく生活スタイル」「学校、友達、遊び」「母のこと」「閑話」の4章構成で、「変わりゆく〜」では、テレビ、電話、自動車など高度成長期に生活の中に新たに入ってきたものを軸にし家族の姿をつづった。
 多田さんは「三種の神器が入ってくる度に驚き、社会は明るい未来に進み、時代の流れに疑問を抱くことなど考えもしなかった。昭和、平成と生き抜いた世代の強さを見直すことができれば」と話している。
  問い合わせは日本文学館(03・3524・5207)。