『柑橘研究』第17巻発行
海南の森本さん中心に7年ぶり

         
 ミカンを始めとする柑橘に関する研究の世界的権威、田中長三郎博士が1927年に創刊した『柑橘研究』。その第17巻がこのほど発行された。編集に当たったのは、田中長三郎博士柑橘記念会事務局長の森本純平さん(68)。森本さんは77年発行の第14巻から編集に携わっており、「田中先生の教えを受けた人たちは高齢になり現場から離れていることが多いですが、これからも発行を続け、味の良いミカンを作ることにつなげたい」と願っている。
 『柑橘研究』は、日本の柑橘産業の発展を願い、新種開発に関する論文などを発表する場として田中博士が創刊。当初は毎年のように刊行されたが、戦後は49年に第11巻、51年に12巻、62年に13巻が出された後、76年に田中博士が死去。翌77年に追悼号をかねた14巻を、大阪府立大で田中博士の教えを受けた森本さんが中心となり発行した。以後も89年に15巻、2000年に16巻と刊行を続けてきた。
 7年ぶりとなる17巻は、「総説」「原著」「分類・品種問題」「報告」「思い出」の5部からなり、「国際化時代の柑橘業の戦略」「カンキツの細胞融合」「ウンシュウミカンの水分管理」など論文を掲載。00年にアメリカで開かれた国際柑橘学会の報告もある。
 さらに、16巻用に寄稿を受けながら、一般論と異なることから掲載を見送った「紀州蜜柑の伝来について」を、今回は収録している。
 森本さんは、「研究報告は全体的に少なくなっていますが、柑橘産業の将来展望や、流通の問題を取り上げた論説は充実しています」。
 前回から7年経過しての出版。森本さんは「こういった研究書は主になって発行した人が亡くなれば、止まってしまうことが多いですが、今後もできる限り出し続けたい」と考えている。
 『柑橘研究』はA4判、227ページ。3000円。希望者は森本さん(073・482・0108)。

写真=「おいしいミカン作りに」と森本さん