天国の母へ捧げる1冊
和歌山市の得津美惠子さん 小説『春のうねり』出版

            
 ニュース和歌山で1月まで小説を連載していた和歌山市の得津美惠子さんが、同市と粉河を舞台にした小説『春のうねり』をアットワークスから出版した(写真)。執筆活動を始めた15年前から思い描いていた出版を果たし、「たくさんの人の協力で夢が叶い、感無量です。和歌山のみなさんに情景を思い浮かべながら読んでほしい」と喜んでいる。
 『春のうねり』は昨年(2007年)のコスモス文学新人賞長編小説部門で奨励賞に輝いた作品。32歳の綾野は歯科医の妻ながら、祖父の跡を継ぐ表具師で愚直な28歳の青年、剛と恋に落ちる。互いに引かれ合う2人だが、おだやかな日常に波紋が広がってゆく・・・。
 得津さんは元国際線客室乗務員で、1993年にエッセイ「天国からのメッセージ」がキリン記念財団「キリンファミリー賞」で佳作に。95年には小説「セレナーデ」がコスモス文学新人賞に選ばれた。また、昨年4月から本紙に小説「愁歌」を連載していた。
 元々、文章を書き始めたのは、読書好きだった母、千代子さんの影響だった。娘の作品が本になることを心待ちにしていた千代子さんだったが、昨年6月に他界。その直後に『春のうねり』の受賞、そして出版が決まった。2月23日、得津さんの元に念願の本が届いたときは、「箱の封を切り、一番上にあった一冊を父母の仏壇に供えました。出版できたのは天国の母が導いてくれたのだと感謝しています」。
 表紙と挿絵は海南市の日本画家、吉本瑛仙さんが担当。作品のイメージから、表紙は古代朱と呼ばれる赤系の色をベースにし、金泥で花いかだと桜の花を描いている。
 得津さんは「職業や地位でなく、人間の本質に引かれていくのが本当の愛だと思います。真摯に愛するということを受け止めてほしい」と願っている。
 四六判、200ページ、1050円。主要書店で販売。
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