本紙連載「城下町の風景」一冊に
紀伊国名所図会をカラー彩色

            
 和歌山の風景、名所を絵図と解説で記した江戸時代の地誌書「紀伊国名所図会」。この中で和歌山城下町が描かれた30枚を選び、カラーで彩色し当時の人々の暮らしを読み解いた「城下町の風景〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』」(額田雅裕解説、芝田浩子彩色=写真右)が11月14日(土)、ニュース和歌山から発行される。昨年8月16日号から今年3月14日号まで掲載し、好評を集めた本紙連載を一冊にまとめ、さらに古地図や現在の風景との比較を盛り込んだ内容で、身近な風景の中にある歴史との接点を明らかにしている。
    
江戸期和歌山へタイムスリップ
     
解説の額田雅裕さん()と彩色の芝田さん
 「紀伊国名所図会」は江戸時代後期の1812年、藩の商用を担った帯屋7代目の高市志友により企画発行された紀伊国の地誌書。最初に一編3冊が発行され、その後、二編、三編、後編、熊野編と計22冊に及ぶ。紀伊半島の寺社、旧跡、景勝の由緒来歴が記されており、和歌山の歴史に限らず、近世の庶民生活を知るうえで貴重な史料として知られている。
 本紙では昨年、和歌山市立博物館学芸員だった額田雅裕さん(現同市文化振興課班長)、わかやま絵本の会からの提案を受け、この名所図会に彩色を施し、当時の暮らしについての解説を加える「城下町の風景 カラーでよむ『紀伊国名所図会』」の連載を8月16日にスタートした。解説は額田さん、彩色は絵本の会の芝田浩子さんが担当。「京橋御門(写真右)」「追廻門」「本町御門」など市民に親しみ深い場所を描いた絵が色彩豊かに生まれ変わり、そこに暮らす庶民の表情を細かく拾った内容は好評を集め、単行本化を求める声が数多く寄せられていた。
 「和歌山の歴史を後世に伝えるのにふさわしい」と本紙は連載の単行本化を企画。額田さんの編集で、計30回に及んだ連載に加え、各回で扱った場所の現在の写真と地図、江戸時代の「安政2年和歌山城下町絵図」をそえて、江戸時代の城下町和歌山へタイムスリップを楽しめるよう図った。
 額田さんは「絵に何が描かれているのか知りたくて自分で色を塗ったのがきっかけ」と振り返り、「3回目の昌平河岸の夕涼み客の中に相撲の興行を知らせる太鼓を打つ五人組がいて、城下町和歌山の町人の娯楽、くらしの一端まで実感をもって理解できました」。芝田さんは「専門的に時代考証すると、怖くて色をつけることはできませんが、大胆に挑戦しました。色を塗ると、描かれた人が何をしているのか分かり、当時の雰囲気が伝わってきます」。
 今回の出版について同市立博物館の寺西貞弘館長は「江戸時代に各地で名所図会が作られたが、『紀伊国名所図会』は現地調査に基づき描かれた名所図会の白眉(はくび)。当時の紀州の学術の高さを物語っている。今回、色をつけることで親しみを持てるようになり、市民レベルで名所図会の価値を見直すことにつながれば」と期待する。
 額田さんは「写真と比べると一目瞭然ですが、名所図会の時代から風景は大きく変わりました。ただ城下町絵図と地形図を合わせると、和歌山は城下町のプランが生きているのが分かる。無くなったものを復元するのは難しいですが、残っているものを大切にするのが私たちの使命。和歌山城とその城下町は市民が誇りにするべきものと思います」と話している。
 A4判オールカラー64ページ。1050円。宮井平安堂、帯伊書店、宮脇書店、和歌山店宮脇書店、和歌山ロイネット店、宇治書店、上野山書店、WAYガーデンパーク和歌山店、和歌山県立博物館、松木書店、松原書店、福岡書店、津田書店、荒尾成文堂、紀州屋、和歌山市観光協会で取り扱い。ニュース和歌山皆さんコーナー窓口(月曜から金曜午前9時半から午後4時)でも販売。郵送での購入希望者は、1050円と送料(2冊まで80円)を現金書留で〒640・8570ニュース和歌山総務部「城下町の風景」係へ。問い合わせはニュース和歌山(073・433・4882)。
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