戦前・戦中の歴史発掘
和歌山市立博物館が研究紀要

    
 和歌山市立博物館は『研究紀要二十四号』を発行した。戦前、戦中の和歌山の歴史に新たな角度を示す論文が盛り込まれ、寺西貞弘館長は「力の入った研究ばかり。多くの市民に読んで欲しい」と話している。
 戦前、戦中の和歌山の新たな歴史を発掘したのは同館学芸員の太田宏一さんの『大正写真工芸所について』と寺西館長の『山本五十六元帥遺家族の和歌山疎開』の2論文。『大正写真工芸所〜』は、大正から昭和初期に多種の絵ハガキを製作した和歌山市の印刷会社の歴史を元社員の聞き書きや写真からたどった。優れた技術を誇り、朝鮮や満州にまで営業所や支店を広げながら、技術が戦時中の作戦地図製作の軍事目的に利用されるようになるまでを跡づけた。
 『山本五十六元帥〜』は、「山本五十六元帥の遺家族が和歌山に疎開していたというが本当か」と市民からメールを受け、寺西館長が調査。疎開地が現在の御坊市だったことや仲介にたった人物像を現地調査で調べ、なぜ軍神と讃えられた山本元帥の遺家族が縁もゆかりもない和歌山にいたか、推論を展開している。
 また、学芸員の高橋克伸さんは明治13年の『陸軍省大日記』から和歌山城内の民有地を調べ、城域の認識について考察。古墳時代から近代にまでわたる多様な研究成果を掲載している。A4判、84ページ。500円。同館で販売。同館(073・423・0003)。

ニュース和歌山2010年5月8日号掲載

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