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和歌山大学教育学部の米田頼司准教授が『和歌祭 風流の祭典の社会誌』を帯伊書店(和歌山市元寺町)から出版した。紀州東照宮の例祭で「日本三大祭」に数えられながら研究が手薄だった和歌祭の意義を見直し、芸能から歴史的な展開までを論じた505ページの大著。米田准教授に和歌祭研究を始めるきっかけを与えた帯伊書店前社長、故高市績さんとの縁で同書店から発行した。米田准教授は「城下町の歴史を背負う帯伊書店から出せうれしい。まだ手つかずの部分が多い今後の和歌祭研究の議論の助けになれば」と話している。米田准教授が5年がかりでまとめた大著は、「和歌祭の誕生とその展開」「民衆の和歌祭」「近代以降の和歌祭」の3部構成で、和歌祭の意義をより深く再検討した。中でも、全国各地の東照宮祭礼に見られる神輿などの行列の間に町人の練り物を入れる形式が、和歌祭以前に存在しない点に注目。「和歌祭が各地の東照宮祭礼や近世の城下町の祭の原型である可能性がある。全国的な位置づけができる祭と見直す必要がある」と再評価を図った。 先行する郷土史家の理解に対し、「戦前の研究では資料的な裏付けのない論考が多く、時代の制約を免れていない」と検討。「戦争の影響で芸の解釈にも戦勝の祝いとする傾向が強いが、和歌祭には戦国時代後の天下泰平を祝する内容がみられる」と読み替えた。 絵画資料・図版211点、写真103点と目でみる資料も数多くもりこんだ。「和歌祭は藩の祭だが、民衆が趣向をこらし発展させる風流(ふりゅう)の祭と分かった。芸能史での議論にもつながれば」と期待する。 同書は米田准教授を和歌祭研究に導いた帯伊書店の先代社長、故高市績さんとの縁で同書店から出版。米田准教授は、ニューヨーク市立図書館所蔵の『和歌御祭礼渡り物之内餅搗踊之図』に描かれた餅搗踊の復興を果たしたのが高市さんの先祖で、江戸時代に『紀伊国名所図会』を編纂した高市志友と知り、城下町の祭としての和歌祭に関心を深めた。 帯伊書店の高市健次社長は「先代はもちろん先祖とのかかわりが深いのでぜひうちから出版したかった。祭が始まった当初から現在まで研究したのは後にも先にもこの本だけ。出版を通じ文化振興に一役買えれば」。和歌山地方史研究会幹事の江本英雄さんは「膨大な資料があると普通はひるむが、そんなことはなく一つの関心で最初から最後まで論じているのに目をみはる」と評価する。 米田准教授は「近世の形を残して現代まで続く祭はそうない。もっとスケールの大きな和歌祭の理解につながれば」と話している。帯伊書店はじめ主要書店で販売。5250円。帯伊書店(073・422・0441)。 写真=米田准教授(右)と帯伊書店の高市社長 |
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※ニュース和歌山2011年1月8日号掲載 |
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