Q. 右下腹部に違和感があり、脱腸と診断されました。最近の治療は?

fuku◆消化器外科・一般外科 福外科病院 日本外科学会認定専門医
日本大腸肛門病学会認定専門医 福昭人院長

A. 脱腸(そけいヘルニア)は成人の場合、自然治癒することはありません。いきんだりして腹圧が加わると臓器の脱出が顕著になり、痛みや違和感を伴い、大きく腫れ上がったりします。薬で治すことはできず、治療は手術となります。腫れが急激にひどくなると臓器の壊死を引き起こす場合があるので、重症になる前に手術が必要です。

 手術は従来、病変部を直接切開する「切開法」しかありませんでした。しかし、最近では、内視鏡を使った「腹腔鏡法」が主流です。これは、お腹を3カ所1㎝ほど切開し、腹腔鏡という内視鏡を入れ、お腹の中でヘルニアを治療する方法です。切開法より痛みや合併症が少ないといわれ、保険適応になってからは、全国的に実施件数が増えています。創部の痛みは内服薬で十分コントロールできます。

 いずれも手術当日入院し、夕食後に退院する日帰り手術が原則ですが、一長一短があります。かかりつけの外科専門医とよくご相談ください。

 

Q. 排便のたびに、いぼ痔を指で戻しています。薬で治りますか?

raku◆外科 楽クリニック 藤田定則院長

A. 排便後、いぼ痔を指で押し戻すのが習慣になってしまっている方は、案外たくさんおられます。

 トイレの度にいぼが出て、激痛が走る方は、いぼのつけ根の部分が切れ、切れ痔(随伴性裂肛)になっています。痛みは注入軟膏や鎮痛剤等の使用と排便コントロールで一時的に改善しますが、再発しないよう、日帰り手術での治療を勧めます。妊娠中はいぼ痔が悪化しやすいので、若い女性などは早めの治療が望ましいです。

 痛みを伴わない、やわらかないぼ痔(脱出性内痔核)や、少し硬いいぼ痔(肛門ポリープ)も、お薬では治りません。日帰り手術による治療が必要です。

 急にいぼが大きく腫れて戻らなくなり、激しく痛むのは、血栓性外痔核です。いぼの中の静脈に血の塊(血栓)ができて腫れ上がり、破れると出血します。ほとんどの場合、お薬で治りますので、すぐに医療機関を受診してください。

 痔は悪性の病気ではないので、強い痛みや出血などがなければ、長い間我慢する方がいらっしゃいますが、そのままにしていると大きくなることもあります。大半の手術は30分前後で終わります。一度、お近くの外科の先生に診ていただくことをお勧めします。

 

Q. 60歳男性。高血圧で治療中です。血圧の正常値を教えて下さい。

minakatasin◆循環器内科 みなかたクリニック 南方常夫院長

A. 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2014によると、血圧の正常値は、若年・中年・前期高齢者(65〜74歳)は診察室血圧140/90㎜Hg、後期高齢者(75歳以上)は同150/90㎜Hg(様子を見ながら下げられれば同140/90㎜Hg)、糖尿病や蛋白尿のある慢性腎臓病の患者さんは同130/80㎜Hg未満です。

 一方、昨年、米国心臓協会と米国脳卒中協会が第一位に選んだ論文が反響を呼んでいます。これは、50歳以上の高血圧患者9361人を対象に行われた大規模臨床試験「SPRINT」の成績論文で、降圧目標140㎜Hg未満の標準治療群よりも、120㎜Hg未満の厳格治療群の方が、心筋梗塞や脳卒中、心不全等の複合心血管病発症率および全死亡率が少ないという結果を報告しています。

 この論文の内容を受けて、日本高血圧学会は、現在の降圧目標の範囲内で、より低い血圧値を目指すことを推奨していますが、厳格に降圧する際には、脳・心・腎などへの有害事象(低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害)などに十分に注意する必要があるとしています。

 高血圧の治療は、将来起きる可能性のある、心筋梗塞や脳卒中等の心血管病を予防するために行います。主治医の先生とよくご相談下さい。

 

Q. 首、肩のこりが治りません。かみ合わせと関係ありますか?

yosimurayositaka◆歯科 吉村歯科医院 吉村義孝院長

A. 首や肩のこりとかみ合わせは、密接な関係にあります。かみ合わせは、①歯とあごの形 ②あごの位置 ③あごの運動、の3つに分類されます。かみ合わせが悪い状態とは、あごがずれていることを言い、そのずれは万病のもとになります。直立二足歩行の人間は、あごで頭蓋と体全体の重心バランスをとっています。まさにあごが、体中の均衡を維持するバランサーの役割を担っているのです。

 ご質問のようにあごのずれがあると、首・肩のこりや頭痛、腰痛などが出たりします。あごの位置が悪いと、首の骨である頸椎の湾曲が正常でなくなり、筋が過度に緊張するため、脳への血流障害をきたします。頸椎がずれてくると胸椎、腰椎にまでずれが伝わり、肩や胸、背中、腰がこったり痛んだりします。さらに、このような上半身のずれが原因となり、骨盤や股関節がひずんだり、足やひざ、足の筋肉にこりや痛みを引き起こす場合もあります。それは、子どもも大人も変わりません。

 あごのずれを治すと、筋の緊張がやわらいでバランスがよくなり、頸椎から腰椎、骨盤等のずれが是正されるため、様々な症状が解消される可能性があります。痛みやこりでお悩みの方は、一度あごのずれを疑ってみてはいかがでしょうか。

(ニュース和歌山2016年1月23日号掲載)