Q. 脱腸です。違和感がありますが、このまま放っておいていいですか。

fuku◆消化器外科・一般外科 福外科病院 日本外科学会認定専門医
日本大腸肛門病学会認定専門医 福昭人院長

A. 脱腸でも、とくにそけい部が腫れてくるものを「そけいヘルニア」と言います。重いものを持ち上げたり、咳き込んだりしてお腹に力を入れると、下腹部が少し腫れるのが初期症状です。次に、突っ張り感、違和感、引っ張られる感覚が出てくれば黄信号です。さらに悪化すると大きく腫れ上がり、緊急手術になることもあります。

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 治療は基本的に手術です。以前は、腫れている部分を直接切開する「切開法(図1)」しかありませんでしたが、最近は、内視鏡を使った、より痛みの少ない「腹腔鏡下手術(図2)」が主流です。これは、お腹を3カ所、5㎜〜1㎝程度切開し、特殊な医療器具を入れて、お腹の中でヘルニアを治療するもので、病巣部の痛みはほとんどありません。当院では、当日の朝8時30分に入院して手術し、その日の夕食後に退院するのが基本方針です。どちらの手術方法もそれぞれ一長一短があります。まずはかかりつけ医に相談してください。

 

 

Q.紫外線が強い季節になりました。目にも注意が必要ですか?

眼科 吉村眼科 吉村利規院長
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A. 紫外線による肌の日焼けを気にする人は多いですが、眼への影響を心配する人はまだまだ少ないようです。 紫外線が眼に入ると、眼の細胞がダメージを受けます。このダメージが蓄積されれば、翼状片の発生、白内障の進行、加齢黄斑変性などの原因の一つになると考えられています。

 特に強い紫外線を発生するのは溶接作業の光です。専用の防護ゴーグルを着用しなければ、角膜の細胞が傷つきます。防護用具を使わず作業をしたため、しばらくしてから強い眼痛が起こり、夜間に眼科を救急受診する人もいます。また、雪は紫外線の反射率が高く、スキーや登山で長時間雪を見続けると眼が炎症を起こします。ウインタースポーツの際も、眼を護るサングラスが必要です。

 とはいえ、日常生活では、眼に傷害が出るほどの強い紫外線を受けることはほとんどありませんので、特にサングラスを必要としません。また、一般的なメガネは、有害な紫外線をカットするコーティングを施していることが多いようです。

 なお、目に見える光だけを制限するサングラスは、視界が暗くなるので瞳が大きくなり、その分、眼に入る紫外線や赤外線が増えます。サングラスを選ぶ際は機能を確認しましょう。

 

Q. 足の血管がふくれてコブになっています。大丈夫ですか?

raku◆外科 楽クリニック 藤田定則院長

A. 足の血管がコブのようにはっきりと浮き出ているのは、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)という病気が考えられます。

 下肢静脈瘤は、静脈内の血管の弁が壊れたことが原因で発症します。足で使われた血液がうまく心臓へ戻れず、血液の流れが悪くなるため、様々な症状が出てきます。

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 例えば、夕方になると足がだるくなったり、むくんだりします。夜間に突然足がつる(こむらがえり)ことも多いです。冬場、とくに入浴後など、かゆみが強くでます。ほかに、色素沈着(しみ)、発赤、皮膚の硬化などが起こります。

 下肢静脈瘤は、特に症状が無ければ運動と経過観察で様子を見ます。しかし、先に挙げた症状がある方には、薬の服用や弾性ストッキングの着用を提案しています。また、手術加療が望ましい方もいますので、精密検査をお勧めします。なお、血管のコブがない下肢静脈瘤の方もおられます。かかりつけの先生にお尋ね下さい。

写真=下肢静脈瘤が原因の足のコブ

 

Q. 正しくかめないと、どのような問題が起こりますか?

yosimurayositaka◆歯科 吉村歯科医院 吉村義孝院長

A.  あごの運動には、限界運動(単に口を大きく開けたり前後左右に動かすこと)や咀嚼運動(食べ物を食べる時のあごの運動)、嚥下や発語など、様々な運動があります。その中でとくに「咀嚼」は、健康と深い関係があると考えられています。

 咀嚼は単に食べ物をかみ砕き、飲み込みやすくするだけでなく、口の中を刺激して各臓器の消化液の分泌を促します。また、唾液を分泌させることで口の中を浄化します。さらに、大脳を刺激して精神を安定させる働きがあります。

 ただし、異常な圧力やかみ合わせの悪い状態で咀嚼を続けると、歯周病や咬耗症、顎関節症になる可能性があります。大阪大学の研究においても「咀嚼の異常そのものが全身の健康に悪影響を及ぼしている」という結果が出ています。このように、咀嚼はわたしたちの心身と大きく関わっているのです。

 正しくかめないと前記の症状以外に、食べ物がおいしく食べられない、補綴物が破損する、義歯を入れたところの粘膜や歯肉が痛む、精神的に抑うつ傾向となる、首や肩のこり、腰痛、胃腸障害、肥満等が起こるといわれます。咀嚼は様々な症状と関係がありますので、正しくかめているか、一度、診察を受けてはいかがでしょうか。

(ニュース和歌山2016年4月23日号掲載)