ニュース和歌山第2・4土曜号で好評連載中の「マエオカテツヤの妖怪大図鑑」。妖怪をこよなく愛する漫画家のマエオカさんがこれまで紹介した13の妖怪は主に江戸時代以前から伝わるものでしたが、今回の特別編では、近現代に広がった3つをまとめました。皆さん、ゆっくり振り返ってみてください。すぐ後ろにいるのは、ひょっとすると………。

 

其の拾四 ターボ婆さん

怖さ:1 町の妖怪 出没地域 和歌山市国体道路

16043010_turbo

 最近、よく噂される都市伝説に「ターボ婆さん」がある。高速道路やトンネル内を車で走っていると、何かが自分の車の横を並走して来る。気になって見てみると、それはものすごいスピードで走る老婆の姿であった…というもの。老婆の足の速さは、時速100㌔以上で、車と併走して人を驚かせる以外は何もしないのでご安心を。

 この妖怪に似たものを和歌山で目撃した人がいる。作家の竹内義和さんだ。竹内さんが若い頃、和歌山市内の国体道路で食堂を探していたところ、深夜にもかかわらず、運よくバスを改装したラーメン屋を見つけた。スタッフ皆でラーメンを食べて、店外へ出た竹内さんの目に、不可思議な光景が飛び込んできた。

 それは猿のように四つばいになり、国体道路を全速力で走り抜けて行く老婆であった。一緒にいたスタッフ全員が同じものを見たという。

 

其の拾五 ふとん敷き婆

怖さ:2 山の妖怪 出没地域 和歌山市森林公園

16043010_futonsiki

 恐竜のいる公園として、家族連れで賑わう森林公園(和歌山市深山)。今から30年ほど前、できたばかりの森林公園に続くクネクネとしたカーブの多い林道は、バイク乗りたちにとって恰好のツーリングコースであった。

 彼らの間で噂されたのが「ふとん敷き婆」である。夜中、森林公園に向かう林道を走っていると、突然ヘッドライトが人影を照らし出す。急ブレーキを踏んでよく見ると、それはふとんを背負った老婆の姿。

 老婆は道路の中央にふとんをゆっくり敷いて、そのまま寝たという。バイク乗りは、目の前で起きた出来事が理解できず、一目散に来た道を引き返すしかなかった。

 まるでコントのような話だが、当時はよく耳にした都市伝説で、その後、噂は広がりを見せ、ふとん敷き婆の家を見つけたという人まで現れた。

 

其の拾六 ツチノコ

怖さ:3 山の妖怪 出没地域 有田川町生石高原など

16043010_tutinoko
 いまだ目撃例が後を絶たない未確認生物。藁を打つ農具の槌に似ているので、この呼び名がある。頭は大きく、胴が太くて、小さな尾がついている蛇のような生物とされる。さらにジャンプをする、日本酒が好き、いびきをかく、尾をくわえて転がる、猛毒を持つなど様々な生態が報告されている。

 和歌山はツチノコの宝庫で、多くの目撃が報告されている。中でも有田川町の生石高原は目撃情報が最も多い地域だ。1972年4月に農業を営む男性2人が生石山頂付近で見たこともない生物に遭遇した。体長40㌢、ビール瓶に頭と尾をつけたような形で、黒茶色だったという。これを皮切りに、この付近だけでも30人以上の目撃者が現れた。

 オモシロイのがイノブータン王国でおなじみのすさみ町。こちらも目撃者が多く、90年代には町おこしの意味も兼ねてツチノコに100万円の懸賞金をかけている。ちなみに副賞はイノブタ1頭であった。

(ニュース和歌山2016年4月30日号掲載)