江戸時代創業の製茶会社、玉林園。抹茶入りソフトクリームのグリーンソフトにてんかけラーメンと長く愛される定番商品に加え、最近はグリーンソフト味の飴やロールケーキなど新商品を積極的に展開する。そんな商品開発の一翼を担うのが、営業部の橋爪佑典さん(33)。小さいころから慣れ親しんだ老舗の味を守りながら、新たな風を吹き込む。

 

風味を見極める

 玉林園運営のグリーンコーナー6店舗のうち、最も新しいイオン160622_gyokurinenモール和歌山店。この店で夏期限定商品として今月登場したのが、特大かき氷「ふわリッチ抹茶」だ。宇治産抹茶の蜜を染みこませたかき氷にムース状の特製宇治抹茶クリームをたっぷりかけた自信作は、早くも人気を呼ぶ。

 「玉林園で扱う抹茶は昔と同様、どれも石臼(いしうす)で時間をかけてひき、香り豊かでまろやかな味です。同じ産地でも年や季節によって風味が変わるので、それぞれの色や味、香りを見極めてブレンドします。ほのかな苦味を残しつつ、抹茶本来の味を生かすようにしています」

本物の味 全国へ

 幼いころからグリーンコーナーの大ファン。大学進学で地元和歌山を離れた時期も母親に頼み、グリーンソフトやてんかけラーメンを送ってもらった。卒業後はパートとしてグリーンコーナーに入り、2店舗で接客と調理を担当。その後、海南店店主を7年間務め、1年半前に本社の営業兼開発担当に抜てきされた。手掛けた1つが、JAわかやまが5月に発売した和歌山ジンジャーエールのアイスだ。

 「和歌山市特産のしょうがパウダーを練り込み、ひかえめな甘さに160622_macchaピリッとした辛みを利かせました。抹茶と同じで、しょうが本来の味を引き立てるために調合を繰り返し1年半かけて完成させた。さっぱりしていて、何度も食べたくなるさわやかな味です」

 営業マンとして全国のカフェや大手飲食店を回り、要望を聞いて戻るのは、本社の開発研究室。全国の産地から厳選した茶葉の香り漂うこの部屋で、微妙な配合に気を配り、顧客の満足いく抹茶シロップやクリームを完成させる。

 「玉林園は江戸時代から本物の茶にこだわり続けている。その思いを大切にしながら新商品を作り、会社を全国区にする。それが夢です」

 

 

【玉林園】本社:和歌山市出島48─1。本社内グリーンコーナーは午前11時~午後11時。☎073・473・5333

 

(2016年6月22日号掲載)