昨年9月、和歌山市砂山南にオープンした「二十四節気」は、お茶の起源である中国茶をはじめ、日本茶、紅茶、ワインをそろえ、気候や好みに合った飲み物を、中国茶高級茶藝師の資格を持つ中原亜貴さん(42)が目の前でいれてくれる。「このお茶を飲んで幸せになってほしい」との思いを胸に、一杯一杯に心を注ぐ。

 

中国茶の文化学んで

 

 カウンターの後ろに飾られた茶筒や細やかな茶器。大きな鉢のような茶16071301_ocha船に道具をセットし、ウーロン茶のひとつ「黄金桂」をいれる。温めた茶壺に茶葉を入れ、あふれるほどたっぷりと湯を注ぐ。少し蒸らした後、ピッチャーに最後の1滴まで注ぎきると、ほんのり花のような香りがのぼった。

 「中国茶は大きく6種類に分かれ、茶葉の量、湯の温度、蒸らし時間とすべて違います。特に香りが重要で、茶葉の香りの系統によって茶壺を使い分けているんですよ」

 幼いころ喫茶店で飲んだ紅茶の味に魅了され、自然とお茶好きに。昨夏まで14年間、白浜町のホテルで働く中、同町で生産される川添茶の農家と知り合った。茶畑や製造工程を見るうちに茶文化への興味が膨らみ、大阪の中国茶教室へ。2011年に中国茶高級茶藝師の資格を取得した。  

「中国では春夏は体を冷ます緑茶、寒くなってきたら温める紅茶と、お茶の温度ではなく、効能によって当たり前に飲み分けているのが新鮮に感じました。茶藝師は茶館(茶専門店)で働くには必ずいる国家資格。それほどお茶を大切にしているんです」

 

いれる手間を楽しむ

 

16071301_ochasyasin 店名の「二十四節気」は季節の移り変わりに応じ、その時々においしく味わえるものを、との思いから名付けた。「お茶をお任せで」とのオーダーには、味や香りの好みを引き出し、時には「疲れ目」「体が冷える」と言った悩みにも耳を傾ける。今年1月から月2回、店内で教室も始めた。

 「〝お茶くみ〟という言葉からも、お茶をいれるのは面倒と思われがちですが、本当はとても楽しい時間。あまりおいしくないジャスミン茶を飲んで苦手に思っている人や、つい手軽にペットボトルで済ませてしまう人にも楽しんでもらえる、ここがそんなきっかけの場になれば」

 

二十四節気…和歌山市砂山南1─4─51

午前11時〜午後9時。木曜休み

☎073・424・7667

 

 

(ニュース和歌山7月13日号掲載)