怖さ:2 山の妖怪 周参見稲積島
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 昔、周参見の稲積島に「エセレンボー」という獣とも鳥ともつかぬものが木深い祠に棲んでいて、度々漁師にイタズラをしていた。ある時、一人の漁師が、「エセレンボーなんてどうせ狸か何かだろう。恐れるに足らない」などと口走った。

 実はこの稲積島には弁財天様が祀られていて、この弁財天様は大の獣嫌い。だからこの島には獣が棲めないことになっている。

 はからずも漁師の口から島に狸がいるなんて聞かされたものだから、さあ大変。弁財天様の怒りに触れたのか、翌朝、十数匹の狸が波間に浮かんでいたという。

 果たして、正体は狸だったのか? それとも狸はとばっちりをくらっただけなのだろうか? みなさんはどうお考えだろうか?
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 妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。

(ニュース和歌山2016年9月17日号掲載)