小学生の時、友達が野球をしているのを見て、「楽しそうだな。仲間に入れてもらおう」と思い、1人で西脇少年野球クラブの球場まで行ったのが私と野球の出会いでした。そのような中、中学3年生の時に通っていた塾の先生が青年海外協力隊に参加することになり、初めて協力隊の存在を知ったのです。その先生が任期を終え、帰国してからも、協力隊とは何か、どのような活動をして何を実現することができたのかなど、様々な話を聞く機会があり、協力隊に行くという新たな道を開くことができました。

 先日、決勝史上初となる大阪勢対決で幕を閉じた全国選抜高校野球大会。2010年の春に甲子園の地を踏んで感じたことは「野球を楽しくできる球場」だったということです。整備された球場、360度見渡すと観客。1球1球に皆が集中しています。このような環境で野球ができるからこそ今まで以上の力を発揮でき、高校球児が目指す場所であろうと感じました。

 今なお私に残り、大切にしていることは「何か目標を持ち、その目標にどのように取り組むか」です。ペルーはプロ野球がなく、甲子園のような〝聖地〟もありません。その中でも何か目標を持たせて野球をさせたいと思います。また、野球を通じての人間形成にもかかわりたいと考えています。

 日本はとても優れた指導者やトレーナーがたくさんいます。自分のような未熟者は日本では必要ないと感じ、しかし、世界のどこかに私でも必要としてくれる場所があるのではないか、と思い直したことが協力隊に参加した動機の一つです。

 友達が野球をしていなかったら、中学時代に塾の先生に出会っていなかったら、今、私が青年海外協力隊としてペルーで野球の指導をしていることはなかったでしょう。どのような小さな出会いでもそこには何か意味があり、大切にしなければいけないものだと思います。ペルーが任地に決まったのもその一つ。この出会いを、たくさんの人との新たな出会いに広げ、ペルーの未来につながる活動にしていきたいです。

 現在、主に5ヵ所の球場を巡回指導しています。次回から、具体的な活動をお送りします。

写真=指導する子どもたちに囲まれて

◇     ◇

 向陽高校出身で元甲子園球児の森敏郎さんが、青年海外協力隊として赴任するペルーから現地レポートを届けます。掲載は偶数月の第3土曜号です。

(ニュース和歌山より。2017年4月15日更新)