浜の宮ビーチ前、テラスから海が一望できるドルチェ・エ・カフェ・アランチャ。ランチ、カフェ、バーと時間に応じて過ごせ、1年中、旬のフルーツを楽しめる。オーナーの小嵐清司さん(52)は「和歌山はフルーツ王国と言われながら、まだまだ知られていない果物が多い。その豊かさを伝えたい」と話す。

季節がメニュー決める


 「アランチャ」はイタリア語でオレンジの意味。1年通して柑橘類をはじめ、旬の果物を使い、スムージーやジュース、ムース、タルトと、いずれのメニューも季節とともに彩りを変える。

 「フルーツのショートケーキは看板メニュー。赤いものは必ず乗せますが、季節に合わせて、いちご、すいか、いちじくと切り替える。定番のレモンティーも和歌山県産の在庫がなくなればメニューから消え、別に夏みかんティーなどが出ます。これからの季節、新鮮で濃厚なマンゴーを使ったプリンがおすすめです」

 仕入れのため、毎週のように、紀北から紀南を縦断する。大切にするのは生産者との顔の見える関係づくりだ。

 「和歌山には県民にも知られていないフルーツがあるんです。寒い地域で栽培されるリンゴ、暑い地域で育つスターフルーツのように日本中の果物が収穫できる。それを知ってもらいたいんです。生産者とはご近所づきあいに近い関係。じっくり話すので、市場に出ていないものを分けてもらうこともある。例えば、ヤマモモは収穫の時期が短く、傷みやすいので、市場にはあまり出回りません。独特の香りと酸味を生かして桃のムースのソースにします」

自然の味を生かす


 出身は海南市。大学進学を機に大阪に移り、IT企業で9年働いたが、いつか地元に戻り、何か商売をと考えていた。旅行好きで、各地で名産を食べるたび、和歌山の名物に思いを巡らせた。

 「今思えば、母方の親戚はみかんを育てていて、近所にもフルーツを作っている人たちが多かった。果物は子どものころから目の前にあったんです」

 和歌山のフルーツは日本一おいしいとの思いがある。

 「〝厳選した素材だけ使う〟という言い方には違和感を感じています。その時々の条件で不出来があっても、生産者が一所懸命作っているものには誠実に向き合いたい。農家さんの努力の結晶と自然の味を、おいしいメニューに生まれ変わらせます」 

写真=色鮮やかなケーキやプリン

ドルチェ・エ・カフェ・アランチャ…和歌山市毛見994。午前11時〜深夜0時。ランチは午後3時まで。火曜休み。金曜は午後6時〜深夜0時のカフェとバーのみ営業。☎073・444・6171。

(ニュース和歌山/2017年7月12日更新)