その昔、花山法皇がこの滝で修行していると、雲に乗った龍神が突然舞い降り、「如意宝珠」という玉、水晶の念珠、九穴の開いたアワビを差し出した。驚いた法皇は、「後の世の行者のために」とアワビを滝壺に沈めた。後に、滝壺にすむ貝を食すと不老不死となる噂がたち、白河上皇が海士に滝壺を探索させたところ、「傘を広げたような大きな貝が『取ってはならぬ』とおっしゃった」と言い、気を失った──。

 写真は、滝壺に虹が出ているが、手前に岩がゴロゴロとしているのにお気づきだろうか。そう、紀伊半島大水害直後、滝に向かった私は、那智川周辺の町の被害を目の当たりにし、がく然とした。どうか無事であってくれと、祈るような気持ちでここにやってきたのだ。

(ニュース和歌山/2017年9月9日更新)