和歌の浦を望む全席オーシャンビューのイタリア料理店「ステラ」(和歌山市和歌浦南)。〝和歌山でしか味わえないイタリアン〟を目指し、堀川恭平さん(30)が昨年オープンした。熊野牛や加太のタイなど県産食材にこだわったメニューを生み出す。「料理を作ることは生きがいそのもの。食材の味を引き出し、大人も子どもも楽しませます」。若き料理人が夢を語る。

地元ならではの味

──昨年、開業しました。

 「生まれも育ちも和歌山です。辻調理師専門学校を卒業後、和歌山市内の店で修業を積みました。もともと家庭的な料理が好きで、イタリア料理は各地方の郷土料理が定着したものが多いため選びました。子どものころから和歌山で自分の店を持つのが夢でした」

──家庭での思い出は。

 「母が風邪を引くと、普段料理しない父が台所に立っていたのですが、その光景が好きで。男の子では珍しく、小学校で料理ができる家庭科部に入りました。高学年に上がると釣りに行くようになり、魚のさばき方を母から教わりました」

──県産食材にこだわります。

 「紀州うめどりや和歌浦のシラスなど、自分が食べて育ってきたものをベースに勝負しています。野菜やハーブも選ぶのはできる限り和歌山産です。食材を生かし、ここでしか味わえない料理を追求しています」

特性を引き出す

──県産食材をどのようにイタリアンに。

 「熊野牛の肉は脂身が少なく、細い繊維質のかみごたえが特長です。煮込むと繊維と繊維の間に味がしみて、なめらかな舌触りが楽しめるようになります。パスタでは大きめのミンチにし、辛口の赤ワインでコクをだし、トマトソースで味付けします。めんに絡む肉のうまみが存分に楽しめる一品です」

──魚介類はどのように生かしますか。

 「加太のタイは甘みがあり、味わい深いだしが取れます。煮込み料理のアクアパッツァでは、うまみを凝縮するため、切り身にして皮目をしっかりと焼くことで、香ばしさを引き出します。香り付けに加えるアンチョビや白ワインとの相性が良く、ムール貝やホタテ、エビ、同じく加太産のタコと提供しています」

──季節感も大事にされています。

 「12月には芽キャベツとシラスのパスタ、今は白菜とベーコンのキッシュと、常に旬の一品を用意し、定番メニューのキノコを使ったピザなども定期的に具材を変えています。お客様を飽きさせたくないんです」

──挑戦したい食材はありますか。

 「最近、注目しているのはジビエです。イノシシやシカを使った独自のメニューを生み出したい。店名のステラはイタリア語で星の意味。地元食材でミシュランの星獲得を目指します」

【イタリア料理店 ステラ】
和歌山市和歌浦南3-9-1
☎073-488-2260
11:00〜14:00
17:00〜22:00(LO21:00)
月曜休み(祝日の場合は翌火曜)
※昼は3種類のセットから選ぶ。夜はコースのほか一品料理も。詳細はステラHP

(ニュース和歌山/2018年2月14日更新)