日高町原谷にある熊野古道分岐点に、鹿ヶ瀬峠「法華の壇」への石道標がある。この右側面に「水瀧不動瀑 是より十丁」、台座に「右新道」とある。水瀧は熊野古道から分かれ、約1㌔にあるのだ。

 熊野古道を調べていた私は、なぜ熊野古道の道標にこの案内があるのか興味があった。地元の人の話では、水瀧不動尊、荒畑大明神を祀り、釈迦ヶ谷霊場として大正期に栄えたという。多くの行者が熊野古道を歩いて来て、水瀧に向かった。

 水瀧への道のりは険しく、山の頂から滝の音がしてくる。ゴツゴツした大岩に滝がかかり、滝上には不動明王の石像が安置されている。熊野参詣や、行のため滝を目指すといった時代ではないのか、忘れられたようにひっそりとしている。

(ニュース和歌山/2018年3月17日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。