目が見えず、口もきけない不自由の身となった小栗判官。照手姫は、小栗を箱車に乗せ、湯の峰温泉を目指したが、田辺に入ると次第に山は険しくなり、やむなく馬に乗り換えた。ところが、馬は病に倒れてしまう。照手姫は、近くの山に参籠し、馬の回復を祈願した。

 よろよろと、馬は岩間に落ちる滝の清水を飲むと、たちまちいななき、元気を取り戻した。小栗もわずかに快方に向かった。以後、馬を救った寺は救馬渓観音と呼ばれるようになったという。

 2000万年という気の遠くなる時間の差がある牟婁層群と田辺層群という岩層が接している極めて珍しい滝。水の沸き立つ「たぎる」が転じ、生まれた「滝」。水が蒸発する過程でこのような風穴ができたという。

(ニュース和歌山/2018年7月7日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。