『紀伊国名所図会』に「護摩壇 小森の峰にして日高川の源なり。其流を小森川といふ。此地に赤坪・白坪・右衛門・ゑつかいといふ瀑布(たき)四あり。里人傳へて、むかしゑもゑつかい殿といへる平家の侍、身を投げし瀧といふ」とある。

 屋島の合戦で落ち延びた平維盛が、家来の衛門と嘉門を連れてこの地に隠れ住んだ。しかし、平家滅亡を知り、この滝に身を投げたという。

 後に、里人が滝を登ろうとすると、「汚れるから登らないで」と女の声がした。見上げると、美しい女が立っていた。女は維盛の女房の化身と言われ、以来、金のキジが棲むと噂がたった。
 滝に、七色の虹が架かっていた。行く手を阻むように、今も人が登ることを戒める苦難の滝だ。

(ニュース和歌山/2018年8月11日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。