私はプロのジャズシンガー。この連載では、今まで2つ、大きな病気になったことをお話しします。

 生まれも育ちも和歌山市。父がジャズ好きで、私も小学校高学年のころ、LP盤でビリー・ホリデイの『ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)』をよく聴いていました。詞の意味が分からないままかけていましたが、良い曲だなと思っていました。

 20歳になり、大阪にあるホテルのラウンジでジャズではなく、映画音楽や外国のポピュラーソングを歌い、初めて歌でギャラをもらいました。25歳、本格的にジャズを学び、東京に住み始めました。なぜニューヨークに行かなかったのだろう? いつも中途半端な私です。

 でも、それなりにジャズの歌は勉強しました。銀座、広尾、六本木、横浜などで歌いました。たくさん恋愛もしました。1回目の結婚をし、2回目の結婚は今も続いています。40歳の時、かわいい女の子を授かりました。妊娠中毒症を起こし、娘の出産を機に、和歌山市内の実家へ戻りました。

 そして42歳になった2008年、タクシーに乗っているとき、猛烈な頭痛が私を襲いました。急きょ、行き先を病院へ変更。覚えているのはそこまで。病院に着くなり、倒れ込んだそうです。意識が戻ったのは3日後。信じたくない現実が待っていました。

写真=今、マイクを握るのは左手です。その理由は次回紹介します。

 さつき…1966年、和歌山市生まれ。2度の大病を乗り越え、ステージから元気を届けるジャズ歌手。これまでアルバムは『ワン・アンド・オンリー 唯一無二』『カレッジ』の2枚を発表。10月28日(日)午後2時、和歌山市湊のピノテラスで、ピアニストの進藤陽悟とライブを開催。同店(073・488・6308)。

(ニュース和歌山/2018年10月10日更新)