世界遺産、熊野古道大辺路から北に入る山深い谷に便田郷はある。毎年11月17日は滝の例祭だと聞き、現地を訪ねた。この日は、田子地区に住む住民20人が参加した。滝見道は、先日の台風の影響で倒木が多く、あちこちが崩落していた。

 紀伊半島最南端に位置する便田の滝は、一の滝、二の滝、三の滝で構成する。一番大きな一の滝は落差18㍍。上流にある三の滝の真上に祠があり、観音様が祀られている。般若心経を唱え、祭壇に供えた餅が静かに配られた。昔は餅まきをするくらい人でにぎわった。

 滝の主は大蛇で、日照りが続くと二、三の滝の滝壺に子どもらが飛び込んで水を濁し、大蛇が怒って雨を降らせた。また、昔は行者が護摩修行を繰り返したという。

(経路…国道42号から田子川沿いに北上。途中から林道歩く)

(ニュース和歌山/2018年11月24日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。