『紀伊続風土記』に、「一雨村 いちふりは石觸の訛りにて大川の水石にふるゝ處より起れるにて、栗栖川荘ノ石舟村と同義なるへし」とある。一雨は、古来より古座川の清流が、石に触れることで跳ね上がった水しぶきが天空から舞い降る様子を表す。その独特な響きは、日本一美しい地名だ。

 川沿いに田畑が広がり、水は決して絶えない。村人はこの滝を「神の水」と呼んだ。田植えに先立ち、その水口には田の神を祭った。田と山と水の神が融合して信仰となり、神前に供える水として崇められた。

 水神は五穀豊穣をもたらす日本古来の神だ。神水は、美しくきれいな水の意。聞くと、土地の人々は今もこの水を、飲料水として大切に守り、珍重しているのだという。

(経路…国道371号から県道38号へ入り約1㌔)

(ニュース和歌山/2019年1月5日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。