目と耳の両方に障害がある盲ろう者が2月27日、大地震を想定した避難訓練を、みその商店街にあるさをり織り工房で行った。主催した和歌山盲ろう者友の会の瀬戸節子事務局長(64)は「通訳介助者の力を借りず、自力で建物から脱出することを目標にした。工房は築60年を越え老朽化が進んでいる。3月11日を前に、盲ろう者と介助者が共に助かるよう防災意識を高めたい」と強調する。

通訳介助者と訓練

 和歌山県内の盲ろう者は約300人。視覚や聴覚のいずれかに障害を持つ人が病気でなるケースが多い。なった時期や程度により、通訳介助者が触って手話を伝える方法のほか、手書きや点字を組み合わせるなどしてコミュニケーションをとる。

 この日は工房を利用する3人と介助者5人が参加。介助者に肩を揺らされて地震を知った盲ろう者は低い姿勢をとり、揺れが収まると、介助者と商店街に設置された避難所に向かった。

 盲ろう者の森本悦一さん(73)は「普段は車いすに乗っているため、支えてもらいながら長い距離を歩くのが大変でした」。介助した寺村マチ子さん(68)は「状況を伝えながら自分も避難しないといけないので、負担は大きい」と話す。

 瀬戸事務局長は「県内には95人の通訳介助者の登録があるが、まだまだ多くの支援者が必要。避難所生活でも情報が届かず孤立してしまわないよう、訓練を重ねます」と力を込めた。

写真=避難時の意思疎通は欠かせない

(ニュース和歌山/2019年3月9日更新)