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 美里の湯かじか荘(紀美野町菅沢)に先月オープンした星と森のカフェレストラン・エストレジャ。同町のみさと天文台にちなみ「星座」をテーマにした創作料理が人気だ。プロデュースは自然派レストランマリシーザ(和歌山市和歌浦南の万葉館内)のオーナーシェフ、真珠郁久さん(50)。「元気とエネルギー、驚きを与えたい」と語る真珠さんにこだわりを尋ねた。(文中敬称略)

モチーフは12星座

──星をテーマにしたきっかけは。

真珠 かじか荘のリニューアルにあたり、縁あって「エストレジャ」の新メニューを任されました。母が紀美野町出身で、私も幼いころ近くの山や川で遊びました。町のシンボルはみさと天文台で、「そういえば星をイメージした料理ってないなあ」と思ったんです。

──メニューの内容は。

真珠 12星座にちなんでいます。星座メニューは毎月3星座ずつ提供し、月ごとに変更します。6月は牡牛座「スタミナ牛ロースステーキ」、双子座「2種類のハンバーグと季節の野菜添え」、蟹座「オマール海老のグラタンテルミドール風」。基本はフランス料理ですが、7月は獅子座の「イノシシのジンジャービール煮込み」とドイツ風の料理を加えます。素材は地元中心で無農薬、減農薬野菜の身体に良い物を選び、好評頂いています。

アートのような料理

──発想が豊かですね。

真珠 新作を考えるのが好きなんですよ。かつてはコンテストによく参加しました。全日本司厨士協会の県コンクールでは3年連続知事賞を頂き、ドイツでの世界料理オリンピックに日本代表として出場しました。常に何と何を融合したら、どんな味になるのかをイメージし、アートのような料理をめざしています。お客さんを驚かせ、元気とエネルギーを伝えたい。

──星のメニューでは他に工夫された点は。

真珠 地元のりら創造芸術高等専修学校の生徒たちと、高野山のお膝元にある豊富なフルーツを使ったパンケーキやスイーツを考えました。若い人のアイデアは新鮮です。料理人は新しいことに挑戦してこそ新たな発想を得ることができます。

──普段は和歌浦のマリシーザのシェフです。

真珠 2010年に県の施設万葉館にオープンしました。海の見える場所で結婚式と披露宴のできる店を開きたいとの思いをプレゼンでぶつけ、採用されました。若い人が望む結婚式を実現できる場所にしたいです。

──こだわりは。

真珠 1番は食の安全です。自家菜園の野菜を使って、素材もできる限り和歌山、国内産にしています。あとは遊び心。マリシーザでは和歌浦のしらす料理、ロコモコ丼も紀州にちなんだユニークな食器でお出ししているんですよ。もう一つは味の奥行きです。ソース作りも常に層のあるうまみを追及します。きりのない作業ですが、料理に関しては常に子どものような好奇心を持っているんです。

──今後は。

真珠 和歌浦に来てもらえる食べ物を発明し、地域貢献できたらなと思います。夢はドーナッツ、たこやき、ハンバーガーといったおやつになる手軽な食べ物の形を生むこと。後世に残る料理を編み出したいですね。

データ
エストレジャ…紀美野町菅沢6。電話(073・498・0102)。午前11時〜午後7時▼自然派レストランマリシーザ…和歌山市和歌浦南3。電話(同445・0044)。午前11時〜午後9時半。月曜定休

(ニュース和歌山2014年7月23日号掲載)