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 岩出市のカボチャにシナモンを合わせたあげドーナツや紀の川市のいちじくとクリームチーズのライ麦パン、紀美野町の栗と抹茶のシュトーレン…。岩出市紀泉台のパン店「小麦処 福みみ」には、国産小麦とバターに地元の低農薬野菜や果物を生かしたこだわりのパンが並ぶ。店主の大西正芳さん(44)に、パンにかける思いを聞いた。(文中敬称略)

モットーは安全・安心

──店の扉を開ける前から、濃厚な小麦の香りが漂っていました。

大西 生地には特にこだわっていて、小麦は味がしっかりしている北海道産を使っています。それに風味豊かな国産バターとオリーブ油、塩は甘みのあるフランス産のオーガニックのもの。化学調味料を使っていないので「安全で安心、パン本来の味がする」と子ども連れのお母さんや、妊婦さんがよく来てくれます。

──なぜパン店を。

大西 京都の日本料理店で店長をしていて、飲食店で独立しようと思っていました。妻がパン屋に憧れており、2人で紀美野町のドーシェルで修業しました。そこで身体に安全な物へのこだわりを身につけました。

──―どんなパンを。

大西 地元の低農薬野菜を使った惣菜パンに力を入れています。紀の川市の農家さんが育てたトマトにバジルを合わせて葉っぱの形に焼いたパンや、紀の川市の甘いトウモロコシをフランスパンの生地に練り込んだものなど、その時々の一番美味しい地元野菜を生かしたオリジナルです。他にはないものを提供したいので、妻と一緒に本で研究したり、旬の食材を探しに行ったりして常に試行錯誤を重ねています。

栗のシュトーレン

──秋のおすすめは。

大西 抹茶と栗のシュトーレンです。クリスマスに作るドイツの伝統的な焼き菓子を福みみ風にアレンジしました。自家製天然酵母の力で膨らませているので、仕上げまで3日かかります。

──栗が丸ごと入っていてぜい沢な一品ですね。

大西 紀美野町の栗に京都の抹茶、オーガニックのくるみを合わせ、きな粉をまぶして和風に仕上げました。お茶うけにもおすすめ。季節ごとに素材を変えてシュトーレンを出していて、手土産や自分へのご褒美に買ってくださる方が多いです。

── 10月には実行委代表を務める手作りマーケット「福市」を開きます。

大西 10月19日(日)に岩出市の緑花センターで開催します。福みみのパンも販売しますし、飲食や雑貨など110店が並びます。北海道出身で和歌山で色んな職人の方と知り合いになりたくて始めた催しで、前回は和歌山をはじめ、大阪や奈良から総勢4000人の方が来てくれ、にぎわいました

──今後はどんな店に。

大西 安全で安心できるパンを届ける信念は変えず、そこに楽しさを加えたい。負けず嫌いでこだわりが強いので、これからも唯一無二のアイデアパンを出し続けます。

大西正芳…1970年、北海道旭川市生まれ。京都の日本料理店で約10年勤めた後、妻の出身地の和歌山へ移り、紀美野町のパン店で修業。2011年に福みみをオープン。手作りマーケット「福市」の実行委代表を務める。

データ
【福みみ】岩出市紀泉台118。午前8時〜午後5時。併設のカフェで朝食・ランチ可。月曜、日曜定休。電話(0736・67・7366)。

(ニュース和歌山2014年9月10日号掲載)