県の行財政改革で進む県営施設の見直しに、一部施設の管理団体から戸惑いの声が上がっている。見直しの対象は、県直営施設と、既に指定管理者制度を導入している県有施設で、民間への譲渡や売却を視野に入れている。(2008年8月20日号より)

県公館の活用を考えようと開かれた見学会

 県の貯金と言われる財政調整基金と県債管理基金。1992年は952億円あったが、年々減少を続け、2007年度末で残り211億円になっていた。09年度には基金が枯渇し、財政再生団体に陥る可能性が出始めたため、県は08年3月、行財政改革の一環として県営施設の統廃合や外郭団体への補助金削減に乗り出した。

選行革で委託や廃止

 この前段階として県は05年、「行財政改革推進プラン」を策定し行政のスリム化を試みる。指定管理者制度を導入し、約80ある県営施設の半数を民間企業や団体、市町村に一定額の管理費で委託。人件費や維持費を抑える一方、民間ならではの運営手法で利便性や魅力アップを図った。
 06年から紀三井寺公園や県営相撲場を管理する紀の国はまゆうは、利用団体と連携し、様々な講座開催や施設のメンテナンスを実施。副所長の山本明さん(58)は「地域の総合型スポーツクラブの立ち上げや活動を支援することで、会議室や競技場の利用率が、他県の同じような施設に比べ高くなりました」。
 和歌浦漁港の管理を担うベイサイド和歌浦は06年から漁港の広場で朝市を開催し、毎回、1万人を集める人気イベントに成長している。同社の藪慶次郎社長(72)は「県外からも多くのお客さんが来てくれて、漁協など協力団体も増えて定着している。12年に開設した常設の販売所は開店の10時より前に並ぶお客さんもいますよ」と話す。
 08年3月、県はさらなる支出カットを目指し「新行財政改革推進プラン」を作成。老朽化した県体力開発センターや経済センターをはじめ、県公館や青少年活動センターなど9施設・組織の廃止、補助金削減を盛り込んだ。

利用価値を見直し

毎回にぎわう朝市

 廃止対象の候補に挙がった県NPOサポートセンターを運営するわかやまNPOセンターは08年7月、署名運動を実施。1ヵ月で330団体、7000人から集め、仁坂吉伸知事に存続を求めた。
 また、1994年の世界リゾート博の際、迎賓館として県が購入した県公館(和歌山市和歌浦中)も民間への売却が検討された。こちらも、地元の市民団体や自治会から反対の声が上がり、知事への陳情や、施設の見学会などを催した。
 県は09年2月、新プランの実施方針を発表。県NPOサポートセンターは、青少年活動センター、県男女共同参画センターと共にビッグ愛のワンフロアに集約し存続した。3センターが所有する機器の共有で事務作業の効率が上がり、利用者から好評を得ている。一方、県公館は迎賓館としての行政目的を廃止し、現在は年間約20回、市民団体などの講座やイベントの貸し会場として一般利用されている。
 わかやまNPOセンター元副理事長で和大地域連携・生涯学習センター講師の西川一弘さん(36)は「民間との連携でコストを抑えられるといった視点を抜きに県は施設の廃止を検討した。施設は守られたが今後、その存在意義を行政や市民に示していく必要があるだろう」とみている。

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ニュース和歌山2014年11月8日号掲載