◆消化器外科・大腸肛門外科

大腸肛門病専門医 日本外科学会専門医 
        福外科病院 福 昭人副院長

 

 

 A. 痔核の脱肛が考えられます。

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 肛門にある血管のクッションが腫れて出血したり、肛門の外に出た状態を「脱肛」といいます。「痔核」は、肛門の2〜3㌢奥にできる内痔核と、肛門出口にできる外痔核に分けられます。質問者様の場合、指で押さえると戻ることから、内痔核の脱肛と思われます。

 内痔核の主な症状は出血と脱肛です。ほかに、違和感や残便感、掻痒感、貧血もあります。「①出血を繰り返して貧血の原因となっている」「②脱肛している」場合、手術となります。以前は、外科的切除が基本でしたが、近年は〝切らない手術〟として、硬化剤を痔核に注射して退縮させる方法(四段階硬化療法=図参照)があります。

 硬化剤による治療は痛みがほとんど無く、日帰りや短期滞在型入院で済みます。さらに、ほかの大腸肛門病を鑑別するため、大腸内視鏡検査を手術前日に実施し、検査と治療を併せて行うことも可能です。大腸肛門病学会認定専門医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山2015年3月28日号掲載)